矯正治療中に引っ越したらどうする?転院するときの注意点と治療の引き継ぎ
矯正治療は、一般的な虫歯治療と比べて治療期間が長くなる傾向があります。そのため、治療を始めた時点では予定していなかった転勤や進学、結婚などによって、治療途中で引っ越しが必要になることもあります。
「引っ越したら矯正治療は最初からやり直しになるの?」「別の歯科医院でも同じ治療を続けられる?」「すでに支払った治療費はどうなる?」など、不安に感じる方も多いでしょう。
矯正治療中に引っ越すことになっても、適切に治療情報を引き継ぐことで、新しい歯科医院で治療を継続できる場合があります。ただし、矯正治療では歯の移動を長期的な計画に沿って進めているため、一般歯科の転院よりも引き継ぐ情報が多くなります。
日本矯正歯科学会でも、転医する際には紹介状だけでなく、治療前の模型や写真、レントゲン写真、治療経過、治療費に関する書類などを引き継ぐことが重要としています。
この記事では、矯正治療中に引っ越すことになった場合の対応や転院の流れ、必要な資料、治療費や装置に関する注意点まで詳しく解説します。
矯正治療中に引っ越しても治療は続けられる?
矯正治療の途中で引っ越すことになっても、必ず治療を中断しなければならないわけではありません。
引っ越し先で新しい歯科医院を探し、これまでの治療内容を引き継ぐことで治療を継続できるケースがあります。
矯正治療は長期間になることがある
矯正治療では歯を少しずつ動かしていくため、全体矯正では数年程度の治療期間が必要になることがあります。
その間に仕事の転勤や大学進学、結婚、家族の事情などで生活環境が変わることは珍しくありません。
そのため、矯正治療を行っている歯科医院でも、転院を想定した治療情報の引き継ぎを行うことがあります。
できれば同じ歯科医院で治療を続ける方がスムーズ
転院は可能ですが、治療計画を立てた歯科医師が継続して診察する方が治療経過を把握しているため、治療自体はスムーズに進みやすくなります。
引っ越し先が現在の歯科医院からそれほど遠くない場合には、数週間から数か月に一度の通院が可能か検討することも一つの方法です。
ただし、毎回長距離を移動する負担が大きい場合には、無理をせず転院を検討した方がよいでしょう。
引っ越しが決まったら早めに歯科医院へ伝える
矯正治療中に転院する可能性がある場合には、できるだけ早い段階で現在の歯科医院へ相談することが重要です。
引っ越し直前に伝えると準備が間に合わないことがある
矯正治療の引き継ぎには、これまでの検査資料や治療経過などをまとめる必要があります。
そのため、「来週引っ越すので転院したい」と突然伝えると、必要な資料の準備に時間がかかる場合があります。
引っ越し予定が分かった段階で歯科医院へ伝え、いつまで現在の医院へ通えるのか相談しましょう。
治療をどこまで進めるか調整できる場合もある
引っ越し予定日が分かっていれば、現在の歯科医院で治療をどこまで進めるか調整できることがあります。
新しい装置へ変更する直前など、治療の区切りによっては転院時期を少し調整した方がスムーズなケースもあります。
転院先はどうやって探す?
矯正治療の転院では、単に自宅から近い歯科医院を探せばよいとは限りません。
現在受けている矯正方法に対応できるかを確認する必要があります。
現在の歯科医院に紹介してもらう
まず相談したいのが、現在治療を受けている歯科医院です。
引っ越し先の歯科医院を紹介してもらえることがある
歯科医師同士のつながりや所属する学会などを通じて、引っ越し先で治療を継続できる歯科医院を紹介してもらえる場合があります。
紹介先が見つかれば、治療情報の受け渡しについても歯科医院同士で相談しやすくなります。
紹介先が必ず見つかるとは限らない
地域や治療方法によっては、現在の歯科医院から直接紹介できる医院がない場合もあります。
その際には、自分で転院先を探す必要があります。
同じ矯正方法に対応しているか確認する
現在使用している矯正装置によって、転院先選びの条件が変わります。
ワイヤー矯正の場合
ワイヤー矯正に対応している歯科医院であっても、使用している装置や治療方針が異なる場合があります。
現在の装置をそのまま利用できるのか、装置の交換が必要なのかを事前に確認することが重要です。
マウスピース矯正の場合
マウスピース矯正では、使用しているシステムに転院先の歯科医院が対応しているかを確認する必要があります。
同じマウスピース矯正でも、システムや治療計画の管理方法が異なることがあります。
現在使用している装置名や治療状況を伝えたうえで、引き継ぎ可能か相談しましょう。
転院時にはどんな資料が必要?
矯正治療の転院では、これまでの治療経過を新しい歯科医師へ正確に伝えることが重要です。
日本矯正歯科学会は、転医する際の引き継ぎ資料として、紹介状や依頼状、治療前の模型、写真、レントゲン写真などの検査資料、治療経過や治療費に関する書類を挙げています。
紹介状
紹介状には、これまでどのような治療を行ってきたのか、現在どの段階にあるのかなどが記載されます。
治療方針を共有できる
どの歯をどの方向へ移動させているのか、抜歯を行ったか、どのような問題を改善するために治療しているのかなどが分かることで、転院先の歯科医師も治療状況を把握しやすくなります。
治療前の写真
矯正治療では、治療開始前に口腔内写真や顔貌写真を撮影することがあります。
治療前後の変化を確認できる
転院時点の歯並びだけを見ると、どの歯がどの程度動いたのか判断しにくい場合があります。
治療前の写真があれば、これまでの変化を確認しやすくなります。
レントゲン写真
矯正治療では、歯の根や顎の骨格などを確認するためにレントゲン撮影を行います。
セファログラムなども重要
矯正治療では頭部X線規格写真などを使用して、上下の顎の位置関係や前歯の傾きなどを分析することがあります。
こうした資料も治療方針を引き継ぐうえで重要です。
歯型や口腔内スキャンのデータ
治療開始時に採取した歯型や口腔内スキャンのデータが残っている場合には、転院先へ提供できることがあります。
これらの資料によって、治療前の歯並びと現在の状態を比較できます。
治療経過に関する資料
矯正治療では、どの歯をどのように動かしてきたかという治療経過も重要です。
使用している装置の情報
ワイヤーの種類やブラケット、マウスピース矯正の治療計画など、現在使用している装置に関する情報を共有します。
抜歯やアンカースクリューなどの情報
矯正治療のために歯を抜いた場合や、アンカースクリューを使用している場合には、その内容も引き継ぐ必要があります。
転院したら治療計画はそのまま続く?
現在の歯科医院で作った治療計画が、そのまま転院先で完全に引き継がれるとは限りません。
転院先で再評価を行う
新しい歯科医師は、現在の歯並びや噛み合わせ、これまでの治療経過などを確認したうえで今後の治療計画を検討します。
場合によっては追加の検査が必要になることもあります。
治療方針が変わることもある
歯科医師によって治療の考え方や使用する装置が異なるため、以前の治療計画と一部異なる方針を提案されることがあります。
転院後には、今後どのように治療を進めるのか改めて説明を受け、納得したうえで治療を継続することが大切です。
転院すると矯正装置を交換することはある?
転院先の歯科医院が現在と異なる装置を使用している場合には、矯正装置を交換することがあります。
ワイヤーやブラケットを変更する場合
ワイヤー矯正では歯科医院ごとに使用しているシステムが異なる場合があります。
転院先で同じ装置を管理できない場合には、ブラケットを付け直すなどの対応が必要になることもあります。
マウスピースの作り直しが必要になる場合
マウスピース矯正では、転院時の歯並びを改めてスキャンし、新しい治療計画を作成する場合があります。
その場合、新しいマウスピースの作製が必要になることもあります。
転院すると治療期間が延びることはある?
転院によって治療期間が多少延びる可能性はあります。
引き継ぎ期間が必要になる
紹介資料の準備や転院先での検査、治療計画の確認などに時間が必要になるため、通常の通院より治療間隔が空く場合があります。
長期間通院しないことは避ける
矯正装置を付けたまま数か月以上歯科医院を受診しない状態は避けた方がよいでしょう。
ワイヤーや装置が外れたり、予想と異なる歯の移動が起きたりする可能性があります。
引っ越し前から転院先を探し、できるだけ治療の空白期間を短くすることが重要です。
転院すると治療費はどうなる?
矯正治療の転院で特に注意したいのが治療費です。
矯正治療は基本的に自由診療であり、料金体系は歯科医院によって異なります。
現在の医院で支払った費用がそのまま移るとは限らない
最初の歯科医院へ矯正治療費を全額支払っていたとしても、その費用が自動的に転院先へ移されるわけではありません。
返金の有無を確認する
治療途中で転院する場合、残りの治療期間に応じて一部返金される医院もあります。
一方、契約内容によっては返金の条件が異なります。
治療開始時に交わした契約書などを確認し、現在の歯科医院へ相談しましょう。
転院先で新たな費用が必要になる
転院先では初診料や検査費、装置の変更費用、その後の治療費などが新たに必要になる場合があります。
そのため、転院先を決める前に費用についても確認しておくことが重要です。
引き継ぎ資料にも費用がかかることがある
紹介状や検査資料などの作成についても費用が必要になる場合があります。
日本矯正歯科学会では、引き継ぎ資料の作成費について一般的には1万円から3万円程度として紹介していますが、実際の料金は医院によって異なります。
転院を検討する際には、治療費だけでなく資料作成費などについても事前に確認しましょう。
転院先で確認しておきたいポイント
新しい歯科医院を受診した際には、今後の治療内容について十分な説明を受けることが大切です。
現在の治療をどこまで引き継げるか
現在使用している装置をそのまま利用できるのか、変更が必要なのか確認しましょう。
今後の治療期間
転院時点で残りの治療期間がどの程度になるのか、改めて目安を確認します。
治療方針が変わる場合には、当初の予定より期間が長くなる可能性もあります。
新しく必要になる費用
検査費や装置費、調整料、保定装置など、今後どの程度の費用が必要になるのか確認しておきましょう。
保定期間中に引っ越す場合はどうする?
歯を動かす矯正治療が終わり、リテーナーを使用する保定期間中に引っ越す場合もあります。
保定中も定期的な確認が必要
矯正装置を外した直後の歯は、元の位置へ戻ろうとする性質があります。
そのため、リテーナーを正しく使用しながら定期的に歯並びを確認することが大切です。
リテーナーが壊れた場合に備える
引っ越し後にリテーナーが壊れたり合わなくなったりした場合、すぐ相談できる歯科医院を見つけておくと安心です。
保定期間中だからといって、何年間も一度も歯科医院へ行かなくてよいわけではありません。
海外へ引っ越す場合
海外転勤や留学の場合には、国内での転院よりも早めの準備が必要です。
治療資料を用意しておく
紹介状やレントゲン写真、治療経過などをできるだけ整理してもらいましょう。
渡航先の歯科医院で必要となる資料について事前に確認できる場合には、その内容を現在の医院へ伝えます。
装置の種類を確認する
現在使用している矯正装置が渡航先でも対応可能か確認します。
特にマウスピース矯正では、治療システムの引き継ぎ方法について事前に相談することが重要です。
引っ越し予定がある場合は矯正開始前に相談する
これから矯正を始める方で、数年以内に転勤や進学などで引っ越す可能性が高い場合には、治療開始前に歯科医院へ伝えておくことをおすすめします。
治療期間と引っ越し時期を比較する
治療予定期間と引っ越しまでの期間を考え、現在の地域で治療を始めるのか、転居後に開始するのかを検討できます。
全国的な転院対応について確認する
医院によっては系列医院などで治療を引き継げる場合があります。
転勤が多い仕事をしている方などは、転院時の対応について治療開始前に確認しておくと安心です。
転院を焦って決めないことも大切
引っ越しが迫っていると、「とにかく近い歯医者を探さなければ」と焦ってしまうことがあります。
しかし、矯正治療はその後も長期間続く可能性があります。
現在の治療方法への対応だけでなく、説明の分かりやすさや通いやすさ、費用なども含めて転院先を選ぶことが重要です。
一度カウンセリングを受け、これまでの治療をどのように引き継ぐのか説明を聞いたうえで判断するとよいでしょう。
まとめ
矯正治療中に引っ越すことになっても、適切に治療情報を引き継ぐことで、新しい歯科医院で治療を継続できる場合があります。
ただし、矯正治療は数年にわたる計画に沿って歯を動かしていくため、一般的な歯科治療よりも転院時の情報共有が重要です。
引っ越しが決まったら、まず現在治療を受けている歯科医院へ早めに相談しましょう。転院先を紹介してもらえる場合もあります。
転院時には、紹介状だけでなく、治療前の写真やレントゲン写真、歯型、治療経過、使用している装置、治療費に関する資料などを引き継ぎます。日本矯正歯科学会も、こうした資料が転院後の治療をスムーズに進めるために重要だとしています。
また、転院先では現在の治療計画をそのまま続けるとは限りません。必要に応じて再検査を行い、新しい歯科医師が現在の状態を確認したうえで治療計画を立て直すことがあります。使用している矯正装置によっては、ワイヤーやブラケット、マウスピースなどを変更する場合もあります。
治療費についても注意が必要です。現在の医院へ支払った費用がそのまま転院先へ引き継がれるわけではないため、返金の有無や転院先で新たに必要になる費用を確認しましょう。
矯正治療中の転院で最も避けたいのは、何も相談せずに治療を中断し、長期間装置を付けたままにしてしまうことです。引っ越し前から準備を進め、できるだけ治療の空白期間を作らないようにしましょう。
「矯正治療中に引っ越す予定がある」「転院後も治療を続けられるか不安」「現在の矯正治療を引き継いでほしい」という方は、上尾駅前デンタルクリニックへぜひご相談ください。
