2026.07.16

妊娠中でも矯正治療はできる?妊娠・出産を予定している方が知っておきたいこと

「矯正治療中に妊娠したらどうなる?」「妊娠中でも矯正治療を始められる?」「レントゲンや麻酔は赤ちゃんに影響しない?」など、妊娠や出産を予定している方にとって、矯正治療との両立は気になるポイントではないでしょうか。

矯正治療は数年単位になることもあるため、治療期間中に妊娠・出産を迎えることは珍しくありません。妊娠したからといって、すでに行っている矯正治療を必ず中止しなければならないわけではありませんが、妊娠週数や体調、治療内容によっては処置の時期を調整する必要があります。

また、妊娠中はホルモンバランスや生活の変化などによって、歯ぐきが腫れたり出血しやすくなったりすることがあります。矯正装置が付いていると歯磨きが難しくなるため、通常以上に口腔ケアへ注意することも大切です。

日本矯正歯科学会では、妊娠初期は特に重要な時期であることから、可能であれば妊娠と矯正治療の開始が同時期にならないよう検討することを案内しています。

この記事では、妊娠中の矯正治療は可能なのか、妊娠が分かった場合の対応、レントゲンや麻酔、抜歯などの注意点、妊娠中の口腔ケアや出産後の治療について詳しく解説します。

妊娠中でも矯正治療はできる?

妊娠中であっても、状態によっては矯正治療を継続することができます。

すでにワイヤー矯正やマウスピース矯正を始めている場合、妊娠が分かったからといって必ず装置を外すわけではありません。

すでに矯正治療中の場合

矯正装置の調整や経過観察など、比較的身体への負担が少ない処置であれば、体調を確認しながら継続できる場合があります。

ただし、妊娠初期のつわりが強い時期や、お腹が大きくなって長時間同じ姿勢を取ることがつらい時期などは、治療間隔を調整することもあります。

妊娠してから矯正を始める場合

妊娠中に新しく矯正治療を始めること自体が絶対にできないわけではありません。

ただし、矯正開始前にはレントゲン撮影など複数の検査が必要になることがあり、症例によっては抜歯やアンカースクリューなどの処置を行うこともあります。

そのため、妊娠が分かっている場合には、妊娠中に急いで治療を開始する必要があるのか、出産後に開始した方がよいのかを歯科医師と相談することが重要です。

妊娠が分かったらまず歯科医院へ伝える

矯正治療中に妊娠が分かった場合には、できるだけ早めに治療を受けている歯科医院へ伝えましょう。

妊娠週数も伝える

単に「妊娠しています」と伝えるだけではなく、現在何週目なのか、出産予定日はいつなのかを伝えておくと治療計画を調整しやすくなります。

産婦人科から注意事項がある場合も共有する

妊娠の経過や体調には個人差があります。

安静の指示を受けている場合や、歯科治療について産婦人科医から注意事項を伝えられている場合には、その内容も歯科医院へ共有しましょう。

厚生労働省でも、妊婦の歯科診療では母子健康手帳などを通して産婦人科からの注意事項を共有し、体調に配慮して治療を進めることが重要とされています。

妊娠初期の矯正治療

妊娠初期は、身体的にも大きな変化が起こる時期です。

つわりによる吐き気や体調不良などが強く出ることもあります。

無理に長時間の処置を受けない

矯正治療では、装置の調整内容によってある程度診療時間が必要になることがあります。

吐き気が強い場合などには、口を長時間開けていること自体が負担になることがあります。

体調が悪いときは無理をせず、歯科医院へ連絡して予約変更や処置内容の調整について相談しましょう。

新しく治療を始める場合は時期を相談する

日本矯正歯科学会では、妊娠初期は特に重要な時期であることから、可能であれば矯正治療と妊娠が同時進行にならないよう検討することを案内しています。

そのため、妊娠が分かってから矯正を始めようとしている場合には、出産後まで待つ選択肢も含めて相談するとよいでしょう。

妊娠中期は比較的受診しやすい時期

一般的な歯科診療では、妊娠中期は比較的体調が安定しやすく、歯科受診を行いやすい時期とされています。

日本歯科医師会でも、妊娠中の歯科受診について、安定期にあたる妊娠中期の受診を勧めています。

矯正装置の調整を続けやすい

つわりが落ち着き、体調が安定している場合には、通常に近いペースで装置の調整を続けられることがあります。

ただし、妊娠経過は一人ひとり異なるため、「中期なら何をしても問題ない」という意味ではありません。

必要な歯科治療を行うこともある

虫歯や歯周病などの治療が必要になった場合にも、妊娠中期に処置を行うことがあります。

矯正中は装置周囲に歯垢が残りやすいため、虫歯や歯ぐきの状態も定期的に確認することが大切です。

妊娠後期の矯正治療

妊娠後期になると、お腹が大きくなり、歯科診療台で長時間仰向けになることが負担になる場合があります。

楽な姿勢で治療を受ける

厚生労働省では、妊婦の歯科治療において、患者さんができるだけ楽に過ごせる姿勢で診療することが重要としています。

苦しさや気分の悪さを感じた場合には、我慢せずすぐに歯科医師やスタッフへ伝えましょう。

出産予定日が近い場合は治療間隔を調整する

予定日が近づいている場合には、急に通院できなくなる可能性も考慮する必要があります。

ワイヤーが粘膜へ当たらない状態にしておくなど、出産前後にしばらく通院できなくても問題が起こりにくい状態へ調整する場合があります。

妊娠中にレントゲン撮影はできる?

矯正治療では、治療前や途中にレントゲン撮影を行うことがあります。

妊娠中のレントゲンを心配する方は多いでしょう。

必要性を判断して撮影する

妊娠しているからといって、歯科のレントゲン撮影が一律に禁止されるわけではありません。

日本歯科医師会では、妊娠している場合や妊娠の可能性がある場合には事前に伝えたうえで、必要に応じてレントゲン撮影を行うことも可能としています。

厚生労働省の妊産婦の口腔健康管理に関する資料でも、歯科X線撮影時には防護用エプロンを使用するなどの配慮が示されています。

急ぐ必要がなければ撮影時期を変更することもある

矯正治療で使用するレントゲンの中には、治療計画を立てるために重要なものがあります。

一方で、すぐ撮影しなくても治療上問題がない場合には、妊娠時期や患者さんの不安などを考慮して延期することもあります。

必要性について歯科医師から説明を受けたうえで判断しましょう。

妊娠中の歯科麻酔は大丈夫?

矯正治療そのものでは毎回麻酔を使用するわけではありません。

しかし、矯正前の抜歯や虫歯治療などで局所麻酔が必要になる場合があります。

必要な場合には局所麻酔を使用することがある

妊娠中であっても、歯科治療で局所麻酔を使用することがあります。

ただし、妊娠時期や全身状態、使用する薬剤などを考慮して慎重に判断します。厚生労働省でも妊娠中の歯科治療における麻酔について、患者さんの体調や不安に配慮しながら対応する必要性を示しています。

妊娠していることを必ず伝える

妊娠中の薬剤使用については、妊娠週数なども含めて判断する必要があります。

歯科医院側が妊娠を知らない状態で治療を進めることがないよう、必ず事前に伝えましょう。

妊娠中の抜歯はどうする?

矯正治療では、歯を並べるスペースを確保するため小臼歯などを抜歯することがあります。

急ぐ必要がなければ時期を調整することがある

妊娠中に抜歯が絶対にできないわけではありません。

しかし、矯正目的の抜歯は緊急性が低いケースも多いため、妊娠週数や体調によっては処置を延期することがあります。

特にこれから矯正を始める場合には、抜歯などを妊娠前に済ませるのか、出産後に治療を開始するのかも含めて相談するとよいでしょう。

痛みや感染がある場合は別

親知らずや虫歯などによって強い痛みや感染がある場合には、放置することが適切ではないケースもあります。

矯正治療の予定だけで判断せず、歯科医師と産婦人科医の指示を確認しながら必要な治療を検討します。

アンカースクリューは妊娠中にできる?

矯正治療では、歯を効率的に移動させるために歯科矯正用アンカースクリューを顎の骨へ埋入することがあります。

日本矯正歯科学会のアンカースクリューガイドラインでは、妊娠はアンカースクリュー使用時に考慮すべき全身的要因として挙げられています。

そのため、妊娠中に新たなアンカースクリューの処置を予定している場合には、その必要性やタイミングについて歯科医師と十分に相談することが重要です。

すでにアンカースクリューを使用している状態で妊娠した場合にも、自己判断で何か処置をするのではなく、現在の状態を確認してもらいましょう。

妊娠中は歯ぐきが腫れやすくなる?

妊娠中の矯正治療で特に気を付けたいのが、歯ぐきの健康です。

妊娠中はホルモンバランスなどの影響により、歯ぐきに炎症が起こりやすくなることがあります。

妊娠性歯肉炎

妊娠中に歯ぐきが赤く腫れたり、歯磨きの際に出血したりすることがあります。

歯垢が残っていると炎症が悪化しやすいため、毎日の丁寧なセルフケアが重要です。

矯正装置があると清掃が難しくなる

ワイヤー矯正では、ブラケットやワイヤーの周囲へ食べ物や歯垢が残りやすくなります。

そのため、妊娠中は歯ぐきの状態を意識しながら、通常以上に丁寧な歯磨きを行うことが大切です。

つわりで歯磨きがつらいときはどうする?

妊娠初期には、歯ブラシを口へ入れただけで吐き気を感じる方もいます。

無理に一度で全部磨こうとしない

吐き気が強い場合には、一度にすべての歯を完璧に磨こうとせず、体調が比較的よい時間帯に少しずつ磨く方法もあります。

小さめの歯ブラシを使用する

ヘッドが大きな歯ブラシでは吐き気を感じる場合、小さめのヘッドへ変更すると磨きやすくなることがあります。

歯磨きが難しいときはうがいをする

どうしても歯磨きができない場合には、まずうがいなどで口の中を清潔に保つことを意識しましょう。

妊娠中の歯磨きが難しい場合について、医療機関でも食後のうがいなどでできるだけ口腔内を清潔にすることが勧められています。

体調が落ち着いたタイミングで改めて歯磨きを行います。

マウスピース矯正中の妊娠で注意すること

マウスピース矯正の場合も、基本的には妊娠が分かったからといって直ちに中止する必要はありません。

つわりで装着が難しくなる場合がある

吐き気が強い時期には、マウスピースを口の中へ入れること自体がつらくなる場合があります。

長時間装着できない日が続くと、計画通りに歯が動かなくなる可能性があります。

装着が難しい場合には自己判断で次のマウスピースへ進まず、歯科医院へ相談しましょう。

マウスピースを清潔に保つ

妊娠中は口腔環境の変化にも注意が必要です。

マウスピースを不衛生な状態で使用し続けないよう、毎日適切に清掃することが大切です。

ワイヤー矯正中の妊娠で注意すること

ワイヤー矯正では、自分で装置を取り外すことができません。

食べ物が残りやすい

ブラケットやワイヤー周辺には食べ物が残りやすいため、歯ブラシだけでなく必要に応じて歯間ブラシなどを使用します。

長期間受診できない場合は事前に相談する

出産前後は、予定通りに歯科医院へ通えなくなる可能性があります。

出産予定日が近づいてきたら、次回の受診予定や、しばらく来院できない場合の対応について確認しておきましょう。

出産直前は治療を一時的に調整することもある

出産が近づいたら、矯正装置を完全に外す必要は通常ありません。

ただし、通院できない期間が生じることを想定し、調整方法を変更する場合があります。

ワイヤーが刺さらない状態にする

歯が動くことでワイヤーの先端が出てくることがあります。

長期間来院できない可能性がある場合には、装置によるトラブルが起こりにくいよう調整してもらいましょう。

緊急時の連絡方法を確認する

ブラケットが外れた、ワイヤーが刺さった、装置が壊れたなどのトラブルが起きた場合に、どのように対応すればよいか事前に確認しておくと安心です。

出産後はいつから矯正治療を再開できる?

出産後の通院再開時期について、一律の決まりはありません。

出産方法や産後の回復、育児の状況などによって大きく異なります。

体調が落ち着いてから再開する

無理に早く治療を再開する必要はありません。

産後の体調が安定し、通院できる状態になった段階で歯科医院へ連絡しましょう。

長期間通院できない場合は連絡する

数か月以上受診できない可能性がある場合には、必ず歯科医院へ相談してください。

矯正装置が付いた状態で長期間管理されないと、装置の破損や口腔衛生の悪化などにつながることがあります。

授乳中の矯正治療はできる?

授乳中でも、通常の矯正装置の調整などは行える場合があります。

ただし、虫歯治療や抜歯などで薬を使用する場合には、授乳中であることを必ず伝えましょう。

使用する薬剤については、その必要性や授乳への影響などを確認したうえで判断します。

妊娠を予定しているなら矯正前に伝えた方がいい?

これから妊娠を予定している場合には、矯正治療開始前のカウンセリングで伝えておくことをおすすめします。

治療スケジュールを考えやすくなる

妊娠予定を把握していれば、レントゲン検査や抜歯、アンカースクリューなど、必要な処置をどの時期に行うのか検討できます。

妊娠前に必要な処置を済ませる選択肢もある

症例によっては、治療開始前の検査や抜歯などを妊娠前に済ませておくことで、その後は比較的負担の少ない矯正装置の調整を中心に進められる場合があります。

一方、近いうちに妊娠を希望している場合には、出産後まで治療開始を待つという選択肢もあります。

妊娠中の矯正治療で大切なのは無理をしないこと

矯正治療は基本的に緊急性の高い治療ではありません。

妊娠中に体調が悪いにもかかわらず、「治療計画が遅れるから」と無理に通院する必要はありません。

妊娠の経過や体調に合わせて治療間隔を変更したり、一部の処置を出産後へ延期したりすることもできます。

一方で、自己判断で何か月も通院を中断すると装置や口腔内の管理に問題が起こる可能性があります。

通院が難しい場合にも、まず歯科医院へ連絡して今後の治療について相談することが大切です。

まとめ

妊娠中でも、体調や治療内容によっては矯正治療を継続することができます。すでに矯正装置を使用している場合、妊娠が分かったからといって必ず治療を中止したり装置を外したりするわけではありません。

ただし、妊娠初期は体調の変化が大きく、つわりなどで診療が負担になることがあります。また、新しく矯正治療を始める場合には、レントゲン撮影や抜歯などが必要になる可能性もあるため、開始時期について十分に検討することが大切です。日本矯正歯科学会も、可能であれば妊娠と矯正治療開始の時期が重ならないよう考慮することを案内しています。

妊娠中の歯科レントゲンについては、必要に応じて撮影されることもありますが、妊娠していることを事前に伝え、必要性や撮影時期について説明を受けましょう。日本歯科医師会や厚生労働省でも、妊娠中であることを伝えたうえで適切な配慮のもと歯科診療を受けることが重要とされています。

また、妊娠中は歯ぐきに炎症が起こりやすく、つわりによって歯磨きが難しくなることもあります。特に矯正装置を使用している場合には歯垢が残りやすいため、体調に合わせながらできる範囲で丁寧な口腔ケアを続けることが重要です。

出産前後にしばらく通院できない可能性がある場合には、早めに歯科医院へ伝え、装置の調整や次回の受診時期について相談しておきましょう。

妊娠や出産を予定している方にとって大切なのは、妊娠中だから矯正治療を諦めることではなく、自分の体調と治療内容に合わせて無理のない計画を立てることです。

「矯正治療中に妊娠が分かった」「これから妊娠を考えているけれど矯正を始めてもよいか知りたい」「出産前後の矯正治療について相談したい」という方は、上尾駅前デンタルクリニックへぜひご相談ください。

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